藤原です。
その日は、日曜日の昼の稽古だったのですが、みずきくんが休憩中にスマホを見ながら、「お、今日もオークス勝った」とつぶやきました。
私は競馬に全く詳しくなく、「オークス」と呼ばれるレースがあることは知っているのですが、それがどんなレースで、どれくらい盛り上がるイベントなのか、わかっていません。競馬で思い浮かぶことと言えば、20年くらい前に一度、南河内万歳一座の内藤さんが、「俺はこのレースに賭けるのだが、お前らはどうする？」と誘ってくれた時、500円相乗りさせてもらって、はずれた経験があることと、飯野さんが小倉競馬場で行われた着ぐるみのイベントに関わっていた時、子どもと一緒に様子を見に行った、ということくらいです。
なので、「お、今日もオークス勝った」と聞いて、「へえ、みずきくん、競馬やるんだ」「そんな頻繁に勝っているのなら、いいことだ」と思いました。そして、内藤さんに相乗りさせてもらった時ははずれたけれど、みずきくんに相乗りさせてもらえれば当たるんじゃないか、と淡い期待を抱きました。
そこで、次の「オークス」はいつ開催されるのだろうと、「オークス」をインターネットで検索してみた所、3歳の強い牝馬限定のレースで、ダービー並みに盛り上がるイベントなのだそうです。
私は「ダービー」も名前を知っているくらいで詳しくはないのですが、「おや？」と思いました。「ダービー」は、たしか年に一回の開催だったはずです。そこで「オークス」の開催日程を見てみた所、ダービー同様、年に一回の開催でした。
先ほどみずきくんは、「今日もオークス勝った」と言いました。昨年と今年、二年連続で勝ったとして、年に一回しか開催されないイベントに対して、「今日も」などと言うでしょうか（いや、言うまい）。まるで昨日も「オークス」が開催されていたかのような口ぶりです。
おかしいな、と思い、みずきくんの方を見ていたら目が合ってしまったので、「よかったね」と言いました。
「うん」
「よく勝つの？」
「最近は、なんか調子いいみたい」
「いくら勝った？」
「いくら？ いいや、賭けてない」
「あ、そうなの？」
「犯罪だから、それ」
「え、国営でしょ、あれ」
「何の話？」
「競馬」
「競馬？ いや、野球だけど」
「野球？ あ、」
と、その時初めて、「オークス」ではなく、「ホークス」のことを言っていたのだなということに気がつきました。
ちなみに私は野球にも詳しくありません。
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飯野智子演劇生活30周年記念公演
大体2mm『迷惑』
作：藤原達郎 演出：藤本瑞樹
日程：6月29日（土）14：00／18：00★パーティー回
30日（日）14：00
会場：Ｊ:ＣＯＭ北九州芸術劇場 小劇場
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